スタッフのつぶやき

リーディング(朗読)の魅力

ラジオをつけっぱなしで寝てしまい、深夜気づいたら芥川龍之介の「トロッコ」の朗読が流れていました。
場面は主人公の良平が、二人の土工と一緒に憧れのトロッコを押しているところで、読み手の声は低いけれど、耳をそばだたせる力がありました。

良平は土工に「もういい」と言われるのではないかとひやひやしながらも必死でトロッコを押しますが、あまりにも遠くへ来たことに気付き『もう帰る』といってくれないかと願います。でも土工の一人が言う「われはもう帰れ」の言葉。今まで来た道を一人で今から帰らねばならないと知った彼は脱兎のごとく走り出します。

芥川の作品は読んだはずですが、こんな物語だったっけと不思議な世界に入り込んだようで、複雑に変化する少年の気持ちに引き込まれました。
最後は26歳の良平が妻子とともに東京へ出たけれど、ふとトロッコを押したこと、帰り道恐怖の中走った事、母にむしゃぶりついて泣き続けた事を思い出し、今でも藪の中、狭い道は続いているという意味の一言で終わります。

12月16日(金曜日)「灘トライアングルプロジェクト2016」のリーディングが迫っています。チケットを買いました。原作を読んでいないので内容は判りません。
でも朗読は、頭いっぱいに地図を描き出し、人間を浮かび上がらせ、その微妙な心持を想像させます。

朗読はいいものです。
                  (ma)

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