スタッフのつぶやき

人生の大事なことは映画が教えてくれた vol.6

みなさん、こんばんは!ヨドガー・ナグァ・ハールです。
前回の「タイム」に続いて、今のアメリカを考えさせられる映画をご紹介。
“今のアメリカ” を象徴するのはもちろんこの人。
 
「メキシコとの国境には壁を作る。そしてもちろん、その建設費はメキシコ人に払わせるのだ!」
「イスラム教徒のアメリカへの入国は断固禁止する!」
 
世の人々は「まさかこんなことを大声で喚き散らす人が大統領候補なの?」と少なからず思ったはずだ。そして「こんなの聞いたことがない!」と。
 
しかし、20年以上前のハリウッドで、これとそっくりな大統領候補がすでに描かれていた。
その映画での大統領候補はスター歌手だ。彼は壁についての歌をうたう。
 
「壁が崩れたら、神を信じない人間どもがやってくる。正しい人間は、奴らに仕事を奪われる」
 
トランプは昨年、ジョン・ベルーシやエディ・マーフィを輩出し、40年以上の歴史を誇る人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演した。その出演は、それに抗議して番組のスタッフが仕事をボイコットしたり、ヒスパニック系によるデモが起きたりしたことでも話題になった。
 
映画の大統領候補も「カッティング・エッジ・ライブ」という番組に出演する。そのシーンで番組スタッフは「ファシストを出演させるなんてどうかしている!」と言う。
 
ファシストといえば、トランプは集会で支持者に「私に投票する人は右腕をあげなさい」と言って物議を醸した。右腕を上げるそのポーズは、まさしくジーク・ハイル! ハイル・ヒトラー! のアレだ。
 
映画の大統領候補のコンサートでは、熱狂した観客が右腕を斜め上にまっすぐ伸ばす。
 
トランプも映画の大統領候補も、マスコミや対立候補から「感情論だけで国政は運営できない。結局、あんな人間が大統領になったって何も出来やしない」と批判されればされるほど支持者が増えていく。
要するに大衆は「あんな人間ではない人間の政治では何も出来なかった」ことに心底嫌気が差しているのだ。だから「あんな人間」を支持する。
 
そして、選挙戦が終わり、トランプは大統領になった。
映画の大統領候補はどうなったのか?
 
1992年製作なのでもう24年も前の映画だけど、今のアメリカを予言したような内容には軽い戦慄すら覚えます。
未見の方は一度ご覧になり、大統領候補の行く末を確認してみてください。
 
映画のタイトルは「ボブ・ロバーツ/陰謀が生んだ英雄」
主演のトランプ役・・・ではなく、ボブ・ロバーツ役は、後の「ショーシャンクの空に」や「ミスティック・リバー」で強い印象を残すティム・ロビンス。
 
立派な政治評論よりも、映画のようなエンターテインメントの中にこそ真実の欠片が転がっていることがあるんですね。これだから映画はやめられません。
 
それではまた、次回にご期待ください、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。
 
 
ヨドガー・ナグァ・ハール

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