スタッフのつぶやき

城崎・豊岡にて

今回は思い出話を中断して、一週間前の事を。

 

先日、日本アートマネジメント学会関西部会で城崎・豊岡へ行ってきました。

小旅行です。一番の目的は城崎で射的をすることです。(嘘です。)

 

さて、日本アートマネジメント学会の関西部会では年に何回か例会っていう座学のお勉強的なものをしているのですが、マネジメントは現場で得る「肌感覚」が大切な事が格段に多い。関西部会は、その昔はどこかに出かけていたそうなのですが、仮ぐらしが入会してからは出かけていくっていうことは無かったような気がします。で、「たまにはどこかに行きたいよね」ということで、仮ぐらし担当でどこかに行くことになっていったのですが、関西圏でどこか行くなら、とりあえず城崎でしょ。

 

ってことで城崎に射的をしに行こうと。

・・・ではなくて。城崎を楽しみながら(旅行者としての気分も持って)、文化・芸術・まち・産業・コミュニティーなどなど・・・参加者がそれぞれに考える機会になれば、と思っての企画でした。単に話を聞くだけでは不十分なので。

 

ということで、行先を1泊2日で決定。

 

一日目

 

豊岡劇場 http://toyogeki.jp/

https://www.driveplaza.com/trip/michinohosomichi/ver37/

http://greenz.jp/2016/05/07/weeklypeople_ikisan/

 

映画館の閉館後、クラウドファンディングで見事に再生。映画館としてだけでなく、オシャレ創作ダイニング、コミュニティースペースとしての機能も追加してリスタート。

でも、当初の理想と現実の狭間で、まず何を大事にするかという堅実な選択をされていた。

そう、ここは民間運営。想いはあっても、優先順位は明確なのだ。

 

城崎国際アートセンター http://kiac.jp/jp/aboutus.html

 

アート関係者の中では、超有名施設。

世界中からこの施設でのレジデンス(滞在制作)応募が届く。

今年度は応募数が爆発的に増えていて、選考する側もすごく大変になっているそうだ。

アーテイストたちは、作品の制作の合間に城崎の温泉でくつろぐ。城崎は海外からの旅行者も多く、まちなかを歩いていても違和感なく居られるそうだ。

広報活動、営業まで多彩な才能を持つ、田口館長(件広報・マーケティングディレクター)の存在はとてつもなく大きい。

 

 

城崎温泉街 http://www.kinosaki-spa.gr.jp/

 

城崎といえば外湯。だいたいの温泉街ってそれぞれ旅館に内湯があって、宿泊客は旅館に入ったらそのまま旅館で過ごしてしまうのだけど、でも城崎は違う。城崎は外湯をめぐる。

「城崎時間」とも言えるものがあって、夕暮れ時には一度、温泉街で観光客を見かけなくなる。旅館でご飯を食べに戻るのです。ご飯を食べた後に、みんな外湯巡りを始める。家族連れや恋人たちが浴衣姿、下駄でゆったりした時間を過ごす。

昔の日本はこんな感じだったのかな?なんてノスタルジックな気分に。懐かしいレトロな遊び場もあって、射的屋はいくつかあるけど、すべて行列が出来ている。

風情のある旅館の外観、温泉街の真ん中を流れる川と柳が調和していて美しい。

 

 

旅館(宿泊先です)

 

温泉街からは少し離れているけど、離れた分だけ外の風景が素晴らしい。コウノトリが飛んでいる。ちゃんと外国人対応も出来るようになっていて、部屋も和洋瀬中の部屋に泊まらせてもらい、会席料理も机で頂いた。旅館で飲む城崎の地ビール美味。朝ごはんのデザートにセルフのソフトクリームが用意されていた。みんな綺麗にカップに盛っていくけど、仮ぐらしは若干・・・。

夜は真っ暗だが、朝方の日の出の頃には、内湯に浸かりながら眺める、山と滔々と流れる川が絶景だった。

旅館の女将さんと色々と話をする。『田舎に子供たちが戻ってこないのは、結局自分たちがそうさせてきた結果だと思うのよ。良い学校に行ってほしいとか、良い仕事を見つけて欲しいだとか言って、でも『ここに戻って来い』と言ってない。子供たちが戻って来たくなる場所を作れていない。地方創生って、結局その場所に人が住むかどうかでしょ?』

 

2日目

城崎文芸館 http://kinobun.jp/

昨年10月にリニューアル。常設展では志賀直哉や、白樺派の作家たちの城崎との関わりを本や書籍を通じて紹介している。企画展「万城目学と城崎温泉」では、作家の執筆方法など、面白いものばかり。こういった施設は「資料館」の様な展示が多く、どこまでいっても「嫌なお勉強」感がついてくるものだと思うけど、ここは、現代感覚に合ったストーリーテーリングで、見て回った結果、いろいろなことが分かって「面白かった!」と思える場所。城崎に行かれた時には、ぜひ行って下さい。

現地でしか買えないカニ本、湊かなえさんの『城崎にかえる』(心がじーんとするお話です)。お風呂の中で読める本、万城目学さんの『城崎裁判』。浴衣の袖に入れて読み歩いてね。志賀直哉『城崎にて』。などなど、オモロい本買えます。

 

 

豊岡カバンストリート http://www.cabanst.com/

旅館の女将さんと雑談してたら「明日行ってみたらどぉ?」ということで行ってみたw

駅前のシャッターロードをひたすら歩いた先に発見。

さすが豊岡。良いカバンが揃っていて、『これ欲しい!』と思ったものはすべて、ゼロの数が一つ多いww

おっと、市民プラザに行かないとシンポジウムに遅れてしまう!一行は早歩きでカバンストリートを戻っていくのでした。

 

 

豊岡市民プラザ http://www.platz-npo.com/

 

汗だくになりかけて到着した豊岡市民プラザ。

ここではシンポジウムに参加。

文化芸術による地方創生、(豊岡市の取り組み)、神戸大学の先生・学生のスタディーツアー報告、豊岡市長(私服で登壇。こういう感じの方良いなぁ。)を交えてパネルディスカッション。

その後に平田オリザ氏の特別講義(オリザ氏の関西・・・というか主に大阪の文化政策について思う所を聞く感じになった)。オリザさんの考えを聞くことが出来て良かったな。その場で青年団の本拠地を豊岡に移す予定であることを聞いた。翌日、神戸新聞に載っていた。笑

 

それぞれ訪問したところについてもっとたくさん書けるのですが、この辺で。

 

地域にある文化施設のこと、教育、文化、観光、少子化対策など豊岡市の『未来に向けた』取り組みのこと。とても良い経験になりました。

 

 

神戸に戻って一週間が経ちました。ぼやぼやと「あの時の感覚」を思い出すわけですよ。

 

地域の文化施設で働かせていただいている私たちが、どのように地域やアーティスト、その他アート関係者と関わって、そしてどのように私たちが「マネジメント」をして、その地域にどのような社会的な結果を生もうとするのか。

 

指定管理者制度の下で、限られた資金や周辺の環境によって「その施設にとって」最適なマネジメント方針は変わりますが、灘区民ホールはそんな数多くの公立施設の一つ。

 

アートはそれぞれ、或る表現であり、或る価値観です。綺麗なものもあるし、見たくもねぇ!ってのもあります。表現方法の違いから、相いれない価値観は沢山生まれています。知らないものも沢山あります。でもそれって「人」と一緒。だから、色々な表現に出会って欲しいな、と。

 

秋風が心地よくなりましたね。

 

仮ぐらしのホクロッティ

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