もともと映画好きなのに(ヨドガー・ナグァ・ハール氏には負けますが😅)、ここのところ映画館へ足を運ぶ間がなくて(DVDで自宅で見てると寝ちゃうの😜)、気になる作品を何本も見損ねている私。でも、今年は既に映画館で3本見ました👍…自慢になりませんけど😅
見たのはマーティン・スコセッシの「沈黙-サイレンス-」、キム・ギドクの「The NET 網に囚われた男」、そして大好きなケン・ローチの「わたしは、ダニエル ・ブレイク」の3本。どれも見終わった後にしばらく心がざわついて、その理由を自分なりに考え噛みしめる味わい深い作品でした。
とりわけ上映が始まったばかりの「わたしは、ダニエル・ブレイク」について。
ケン・ローチは本作でカンヌ国際映画祭パルムドールを二度に渡って受賞する快挙を成し遂げたイギリスを代表する映画監督です。
イギリス映画といえば「ハワーズ・エンド」や「日の名残り」といった伝統と格調漂う名作が印象深い一方で、ブルーカラーの地味な人々を描いた「ブラス!」や「フル・モンティ」といった秀作も多々あり。ローチはまさに後者で、一貫して労働者や移民の暮らしを淡々と描いて多くの人たちに感動を与えてきました。私もその中の一人。
今回の主人公ダニエルも、心臓病で働けなくなった59歳の大工さん。奥さんを亡くし子どもは無く一人暮らし。そんな彼が出会うのは大都会ロンドンから弾き出されてしまった貧しいシングルマザー・ケイティ一家。彼らが国の手当てを申請するために奔走する姿が、これまでの作品同様淡々と描き出されます。
私がローチ作品を好きなのは、監督の思想心情を色濃く反映する社会派作品なのに、上から目線や押し付けがましさが全く感じられなくて、逆にクスッと笑えるユーモアが一杯ちりばめられているところ❤エンターテイメントとしての質がきっちりとキープされているからです。
今回も杓子定規な役所の対応やオンラインシステムに翻弄されながらも決して弱音を吐かず頑固にがんばるダニエルの姿は何だか愉快です。…でもいつもと違う?何が違う?不条理さがつきまとってる感じ?うーん?これは何?
そう思いながら見ていたら終わり頃に気づきました!今回はいつものローチと違ってユーモアが少ない。特に後半は笑ってる場合じゃない。それくらいローチは真っ正面から悲しみと怒りをしっかり描いている!そう、とても渋くて苦い作品なんです。
でも苦い味わいのローチもイイ❤とってもイイと思いました❤
映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」は現在シネリーブル神戸で上映中です。排他主義の風を感じる昨今、ローチを好きな方にも、きらいな方にも、よく知らない方にも是非見て欲しい映画です。
みどりの魚