スタッフのつぶやき

人生の大事なことは映画が教えてくれた vol.5

こんばんは、ヨドガー・ナグァ・ハールです。
今日は、私が4年前に書いていた映画の感想文を再掲させてもらいます。
ドナルド・トランプが大統領に選ばれた今、何となく感慨深いので。
 
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映画「TIME タイム」を、ほとんど何の予備知識もなく観た。
「時は金なり」という昔からある格言を、うまく映画的に見せていたと思う。後で知ったが、監督は「トゥルーマン・ショー」の脚本を書いた人。あれは名作だった。なるほど。
とはいえ、せっかく映画的に面白くなるであろう素材を使ったのに、うまく料理出来なかった感じがした。余命1日の貧困層の切迫した緊迫感、あるいは殺伐とした絶望感、反対に余命1000年で「死ねない」富裕層の倦怠感や退廃感が、もっと強烈に対比されないとウソだな。ここまで描写が軽いと感情移入が難しくなってしまう。
まあ、いろいろツッコミどころは多い映画だったが、それよりも今作で一番驚いたのは、アメリカがとうとうこんな映画を作ったのか・・・というところ。
映画は、時間(富と同義)が一部の富裕層に集中することそれ自体にNOを突きつける。
格差が生まれることもやむなしとし、自己責任を求める新自由主義経済は「レーガノミクス」のアメリカと「サッチャリズム」のイギリスによって強力に推進され、特に「労働党」のような政党のないアメリカにとっては国是だったはず。
さては、かの国の超格差社会は許容範囲を超えてしまったか。そりゃ、あれだけ失業者がデモやってるニュース映像を見ると「そうなのか」とも思うが、それでも、富の再分配を善しとするような内容に、アメリカの観客が拍手喝采するとは、にわかには信じ難い。なぜなら、それはアメリカにとっては国柄をひっくり返すコペルニクス的転回だと思うからだ。
ちょうど日本が、問題はあったにせよ概ね上手く機能していた社会民主主義の国から、新自由主義経済に絡めとられることで強制改宗させられ、国柄が一変してしまったように。
観終わった後で、本国での評判が気になった映画は久しぶりだ。アメリカの観客はこの映画のテーゼをどう受け取ったのだろうか。
 
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世の中がどちらに向かって進んでいくのか、本当に分かりにくい時代になりました。
でも、明日の朝には東の空に太陽が昇ります。少なくともそれは “分かること”。
 
だんだんその数は減ってきましたが、まだ世の中に確実に残っている “分かること” を手掛かりに、明日も楽しく生きていこう・・・ただ、そう思います。
 
 
ヨドガー・ナグァ・ハール

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