スタッフのつぶやき

安定志向? コンサバ? マンネリ? それとも・・・の続き

日本人の、安心、安定、安全を好むメンタリティが、文化芸術の領域においてはマイナスになるように思うし、マイナスになったら、いろんな意味でまずいことになると前回書きました。
今日はその続き。
 
理由はひとつではありません。
現在灘区民ホールで働く筆者の以前の仕事は、エクステリア関連商品の営業職。その頃は、およそ芸術やアートと呼ばれるほとんど全てのものに興味がありませんでした。
高校の鑑賞教室で無理やり観た「歌舞伎」は、鑑賞後すぐに「生涯観ない!」と叫んでいましたし、中学の先生にシンフォニーホールに連れていってもらって聴いた、やたらデカい音の「オーケストラ」(実はベルリンフィルだったんですけどね・・・)も、「自分でお金を払って聴くことなんて断じてない!」と言っていました。
 
ところが、です。
 
理由あって公立文化施設で働くことになったので、必要に迫られて「歌舞伎」「オーケストラ」だけではなく、かなりの芸術やアートに触れました。
すると不思議なことに最初は職業訓練だったものが、楽しみ方のようなものが分かってくると “面白い” と感じられたのです。
もちろん全部が全部 “面白い” わけではありません。(それでも、自分が面白いと感じなくても他人が面白いと感じるポイントは理解できるようになった)
さらにそういう経験を重ねていくうちに、自分の人生が豊かになったように感じる瞬間がありました。
人間が何かを表現しようとして生み出したもの(芸術、アート)を、受け止めて感情が揺さぶられるというのは実は幸せな体験なんだな、と。
今までは、感じるアンテナが鈍かったせいでスルーしていたことに気づくと「もったいない」と思ったものでした。
 
巷にあふれる商業ベースに乗ったものは即効性があるので、一発で良さが伝わる。その代償として(?)底が浅いものも多いように感じます。(これに同意される人は、かなりいらっしゃるはず)
底が浅いので次々に消費できてしまうけれども、次々に生み出されるので欠乏症にはならない。
そういうものと比べると「歌舞伎」も「オーケストラ」も、多くの人にとっては即効性がない。
それでも外国人は新しいもの、未知のものに対する好奇心で観たり聴いたりし続けられるのかもしれないけど、自分の慣れ親しんだものを好む保守的な日本人は、最初の出会いでハマらなければ「生涯観ない!」になる可能性が高い。
 
一般的にこういうことが言えてしまうとすれば、これはもう日本人は外国人に比べて思いっきり損な人生を送っていることになるのだと思います。
 
「日本と外国では、聴衆からのリクエストが全然違う。日本では聴いたことがある曲を、外国ではその逆をリクエストされる」
 
この話から日本人の保守的なメンタリティに思いを馳せ、それでは損な人生になってしまう・・・ということを長々と書いてきました。
そのうちまた続きを書くかも。
 
パンチドランカー

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