前回のブログで奈良散策を書いたのですが、実は奈良行きの真の目的は劇団維新派「アマハラ」公演(10/14～24)を観るため。

知る人ぞ知る維新派ですが、知らない人のために簡単に解説するとー

維新派は松本雄吉という大胆にして繊細な感性を持つ偉大なリーダーに率いられたパフォーマンス集団。1970年に活動を始め1987年に「劇団維新派」と改名。
何も無いところに丸太と釘で巨大な劇場を造り、そこでジャンジャンオペラと名付けられた独特のパフォーマンスを繰り広げ、多くの人々を魅了してきました。

私もこれまで何度も観劇し、巨大な舞台美術が縦横無尽に動き回り地平線から人がワラワラと走り出てくるスペクタクルや、白塗りの少年たちが繰り出す言葉とリズムのノスタルジーに心を揺さぶられてきました。
今回の「アマハラ」では、平城京跡に巨大な廃船の舞台を組み立て、島国から遠く半島、大陸へと連なる私たちのルーツや集合離散を繰り返す人間の営みを描いていました。

船の舳先に広がるすすき野、紅から紫やがて黒に変わる広い空、その前で右往左往する人たち。人間は小さくとも大きな力を秘めていることを改めて考えさせられました。

今年の6月、長年維新派を率いてきた松本雄吉が急逝。今回の公演は維新派ファイナルと言われています。終演後、劇場前に設えられた屋台村(維新派公演にはつきもの😋)で熱燗で暖をとりながら月を見上げました。白く輝く月はまるで涙粒のように見えました。

緑のさかな