スタッフのつぶやき

人生の大事なことは映画が教えてくれた vol.8

突然ですが、みなさんは映画を観るときに、どこに注目しますか?
やっぱり俳優のお芝居? 演出? 編集? 音楽?
いろいろありますが今日は “カメラ” について。
・・・とはいえ、 “色” とか “フォーカス” といった話ではありません。
 
筆者は、このカメラは誰の視点なのかな・・・? というのが気になることが多々あるのです。
 
有名なところではスピルバーグの「E.T.」。
この映画では全編に渡ってローアングルが多用されます。
これは明らかに “子どもの目線”。
昔、宇宙をテーマに次々にヒット作を生み出していたルーカス(スター・ウォーズ)とスピルバーグ(未知との遭遇)を比較して「ルーカスはスカイウォーカー、スピルバーグはスカイウォッチャー」なんて言われたりもしていました。
言われてみればスピルバーグの映画に出てくる子ども(と、童心を忘れない大人)には、宇宙への憧れをもって空を見上げている・・・確かにそんなイメージがありますよね。
なので、カメラワークからもそういう心象が感じ取れるようになっているのでしょう。
 
サスペンスの神様といえばヒッチコック。
ヒッチコックの映画では、突然俯瞰映像が差し挟まれることがあります。
「サイコ」にも「鳥」にも。
印象的なものに「北北西に進路を取れ」での、ケイリー・グラントが国連ビルから逃げるシーンで突然真上からのショット!というのがあります。
ヒッチコック映画における俯瞰は誰の視点なのかというと、その多くはやはり “神の視点” ということになるのでしょうか。
人間のドタバタ劇を、天上界から悠然と、しかし冷徹に見下ろしているイメージ。個人的にはそう思っています。
 
最近、横須賀ブルースティックさんが「その街のこども」について書いていました。
阪神淡路大震災15年の年に撮られた作品です。この映画のカメラはどうでしょう。
森山未來と佐藤江梨子の2人による一晩のロードムービー。カメラは歩いていく後方の低い位置から、2人を見上げるようにゆっくりと追いかけたりします。
“ああ、これは亡くなった人たちが、彼らが立ち直ってふたたび歩き出すのをあたたかく見守っている、そんなまなざしなんだな・・・”
この映画は脚本も素晴らしく、心の奥深くに静かに響くシーンがいくつもあるんですが、全編を通してカメラが本当にやさしいんです。
 
というわけで、どう感じるかは人それぞれだと思いますが、このカメラは誰の視点なのか? と、ちょっと意識して観るだけで映画は違った楽しみ方ができるかもしれません。
いやー、映画って本当にいいもんですね。それではまた、お会いしましょう。(今回は水野晴郎風)
 
 
ヨドガー・ナグァ・ハール

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